インタープレイを“き”かせてくれ

ジャズ好きな、そこそこ年のいったライターのブログです。周囲の誰よりも早く、コレステロールの薬飲み始めました。

夏の滋養について

暑い、蒸すのか暑いのか、どちらかにしてくれなくては困る。

 

洗濯物は異臭がするし、自慢のぬか床からは発酵臭が漏れ出している。

 

一人暮らしの1Kでは、どちらも、いかんせんきつい。

 

はてさて、夏といえば滋養のあるものを食べたい。スッポンや夏野菜を使った涼味を楽しむことで、ビタミンなどの栄養をとるのもいいだろう。

 

はたまた、冷たい蕎麦をズズリとすすれば、失った塩分だけでなく、蕎麦屋に多い、古い日本建築の涼しさも思い出せる。

 

それらを押しのけても楽しみなのは、天ぷらだ。

 

180度からなる熱々の、インドやらベトナムやらの気温も吹っ飛ばすほどの劇熱で揚げた、エビや野菜、季節の魚。

 

まさか冷やし天ぷらで食べることはないので、揚げたてがおいしい。それなのに、どうも夏を感じる。

 

天ぷら屋で聞いたら、やっぱり夏は車海老の天ぷらをよく出すそうだ。

 

それこそ熱々の天ぷらなんて、冬に食べたくなるような気がするのに、夏に冷酒と天ぷらなんて、定番のお品書きに見える。

 

汗と共に失った油分が腹に入るからなのか、とにもかくにも天ぷらの旬は夏と言えるのではないだろうか。

 

かといって、まさか昼から冷酒を干して、天ぷらをたしなめるほどの身分でもない。

 

そこで楽しみにできるのが、天ざるだ。

 

揚げたてのエビ天に、冷えたざる蕎麦。どちらから食べるか、いや、交互に口を冷ましながら食べるのか、考えるだけでも生唾を飲み込んでしまう。

 

物の本で読んだが、この天ざる、実は近代料理に入るらしい。

 

詳しくは天せいろ、ざる蕎麦は海苔がかかっているが、せいろには海苔がない。

 

直木賞作家でもあられる、戸板康二大先生の寄稿文にある。

 

先生いわく、銀座のよし田、が、天せいろを始めたのでは、とのことで。

 

先生のお生まれは1915年というから、意外にも歴史は浅い。

 

文の中で、蕎麦と天ぷら、どちらをどの順で食べるか迷う、とおっしゃっているから、やはり正解はないのだろう。

 

先生ほどのお人でも、分からないのであれば、どちらから食べても、問題はない。

 

これで、身体の滋養については、問題ない。

天ぷらが先か、蕎麦が先か、そんなことを楽しみに考えるのは、心の滋養になるだろう。

 

職場の効きすぎたクーラーには、辟易とさせられる。明日も、天ぷらの持つ、滋養を楽しみに、暑さを忘れて仕事をしたい。